蛇の間

「小野照崎神社」の『へび土鈴』

 小野照崎神社の境内には富士浅間神社が祀られた“下谷坂本富士”と呼ばれる富士塚がある。富士塚とは江戸時代に流行した富士山信仰の名残りで、富士山を模した人工の山を登ることで富士登山と同じご利益を得ようというものだ。東京23区内に数十箇所あるという富士塚の中でも、この下谷坂本富士は最大規模のもので、国の重要無形文化財に指定されている。
 ただし富士塚への登山が許されるのは毎年6月30日と7月1日の2日間だけで、あとは立ち入ることすら禁じられている。
 この2日間には『茅の輪守り』と『へび土鈴』という特別な縁起物が授与される。前者は「夏越の祓い」という祭事の時に境内に置かれる“茅の輪”を模したもので、これを玄関に飾ると家内安全のお守りとなる。後者は「山開き」に因む厄除けのお守りだが、とぐろを巻いたへびを渦に見立てたデザインが面白く、愛らしい。

「奥沢神社」の『大蛇絵馬』

 
 奥沢神社は古くは「奥澤八幡」といい、八幡大神と稲荷大神を祀っている。境内には八幡の井戸や弁財天もあり、美しい水の湧く場所として信仰を集めてきた。
 面白いのは9月14、15日の大祭で行なわれる「厄除大蛇のお練り」で、この日は氏子たちが藁で作った大蛇の人形を担いで町中を練り歩く。江戸中期にこの近隣で疫病が流行した時、神のお告げで始められたというが、約250年も続く伝統行事である。
 この大蛇を象ったのが『大蛇の絵馬』。絵ではなく焼き物の大蛇の顔が乗っている実にユニークなものだ。

「駒込富士神社」の『麦藁蛇』

 小野照崎神社などと同様に、富士山を模して造った富士塚が境内にある。特にここの富士塚は“駒込のお富士さん”と呼ばれ、江戸時代から近隣住民に親しまれてきた、由緒のあるものだ。
 例大祭である「山開き」は6月30日から7月2日の間だけだが、この3日間だけ授けられる『厄除神龍』である。
 『厄除神龍』は本来の名前を“麦藁蛇”といい、頭と胴体を麦わらで編みヒバの枝に飾りつけた独特の縁起物だ。東京に伝わる郷土玩具としても貴重なものである。


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