

ヨーロッパのミネラルウォーターの水源のある町を探訪するこのページ。第一回は、トピックスで紹介した国際会議の舞台でもある、フランスの水の町「ヴィッテル」を訪ねます。

ヴィッテルの古い水飲み場 / アーチ型の回廊
すでに日本でも多くの人々に愛飲されているミネラルウォーター、ヴィッテルのふるさとは、フランス東部のヴォージュ地方にあります。
水源のある「ヴィッテル」は、人口6500人ほどの小さな町ですが、ローマ時代の昔から鉱泉保養地として知られてきた、フランスでも有数の由緒ある“水の町”。現代では、世界最大のリゾート会社のひとつ“クラブメッド”が経営するホテルやカジノ、ゴルフ場などが備わった一大観光地でありコンピューターで管理された近代的な“テルマリズム(水治療)センター”があることでも知られています。
ヴィッテルへ行くには、パリからストラスブール方面行きの電車に乗り、途中のナンシーで電車を乗り継いで、約4時間ほどかかりますから、ちょっとした小旅行ということになります。

グランドホテル / 完全無農薬のゴルフ場
やっと辿り着いたヴィッテルは、その町並を見る限りでは、どこと位って個性のない、平凡な町に思えます。ところが、リゾート・エリアのゲートをくぐると、そこはもう別世界。どこまでも続いているかに見える広々としたゴルフ場の芝生と、ヴィッテル様式と呼ばれる独特の建築様式で建てられたという「グランドホテル」の偉容が目に飛び込んできます。
ヴィッテルの町には、このグランドホテルをはじめ、数多くのホテルが立ち並んでいますが、宿泊客の多くは数週間から数カ月もの長期にわたってここに滞在し、昼はゴルフやテニス、夜はカジノやショーを楽しみながらゆったりと過ごします。そして疲れきった肉体をテルマリズム・センターの水治療で癒し、心身ともにリフレッシュして帰っていくというわけです。働きづめの日本人にとっては、なんともうらやましい話です。
しかし、このテルマリズム・センターは、日本の温泉ヘルスセンターのような、単なる保養のための施設ではありません。ヴィッテルの場合は腎臓結石やリューマチなどに治療効果があることが認められ、健康保険も適用される、きちんとした医療施設でもあるのです。もちろんセンターでは、医師が検診や治療を行ないます。
テルマリズム・センターでは正規の患者さんも、体験メニューの一般の人も、全て一階の受付で、個別にカウンセリングを受けるシステムになっています。そして、その人に最も適した治療プログラムをメニューとしてカードに書いて渡してくれます。
カードを受け取ると二階へ行きロッカールームで全裸になります。そう、フランスのセンターでは、全て全裸で治療を受けるのが基本なのです。この日、僕に与えられた治療メニューはジェットバス、シャワーバスにウォーターマッサージでした。この治療メニューの内容については、次の「コントレックス」のページで詳しく書きたいと思います。
ヴィッテルの町で特筆すべきなのは、その環境保護への取り組みです。ヴィッテルではまず、水源の周囲6500ヘクタールにも及ぶ土地を環境保全地域に指定し、そのうち1700ヘクタールはヴィッテル社が自ら買い取って保護しています。

ラボラトワール・ペリエヴィッテル / 研究施設内
またヴィッテルの町には、世界でも唯一という水専門の研究機関「ウォーター・インスティテュート・ペリエヴィッテル」と、ミネラルウォーターに関する研究施設「ラボラトワール・ペリエヴィッテル」があることでも知られています。
この研究施設には40人もの研究員がおり、毎日、ミネラルウォーターに含まれるミネラルや微生物の研究、そして病原菌や化学物質など水を汚染する物質についての調査研究などを行なっています。
ナチュラルミネラルウォーターの生産基準が世界一厳しい、ヨーロッパ(EU加盟国)でも、これだけの規模の研究施設があるのは、このヴィッテルとエビアンの2箇所だけです。
研究施設の中は残念ながら一般には公開されていませんが、特別に取材許可を得て中に入らせて頂くと、日本の大学の研究所のような暗いムードはかけらもなく、外光がふんだんに入る明るいムードなのに驚きました。このへんがいかにもフランスらしいなと感じました。

常設展「水と生命」
ヴィッテルのテルマリズム・センターの隣のスペースでは、昨年の6月から「L'eau et la Vie」(水と生命)という題名の特別展示(常設展)を行なっています。
これは、水と生命をさまざまな側面から取り上げ、写真やビデオなどビジュアルをふんだんに使った、実に見応えのある展示です。
とりわけ、水に含まれるミネラルの結晶を展示したコーナーや、世界中のミネラルウォーターそれぞれの地層を紹介したコーナーなどはまさに必見。
この展示については、いずれ別のページで特集したいと考えています。