第二回「コントレックス」

 
 数年前から若い女性たちの間で“スリムウォーター=痩せる水”として注目を集めているナチュラルミネラルウォーター、コントレックスのふるさとは「ヴィッテル」と同じくフランスのヴォージュ地方にある小さな町「コントレキセヴィル」です。ここは、今から300年以上も昔の17世紀の半ばに、ポーランド国王の侍医ドクトル・バガールが保養施設を建てたことに始まる、フランスの数ある“水の町”の中でも最も歴史の古い所。パリのオペラ座を手掛けたシャルル・ガルニエが設計したカジノや映画館をはじめ、瀟洒なホテルやレストランが立ち並ぶ、実に美しい町です。


コントレックスの町並み / ガルニエ設計の豪華な映画館

 そして<コントレックス>は、1861年にフランス厚生省から認められた最初の“公益の水”としても知られています。つまりフランスのナチュラルミネラルウォーター第一号というわけです。
 <コントレックス>は、日本では通信販売専門でスーパーやコンビニでは売っていませんが、フランス国内ではごく普通に売られているばかりか、すべてのミネラルウォーターの中で<エビアン>に次ぐ第二位の売り上げを誇っている、きわめてポピュラーな水なのです。

 <コントレックス>がなぜフランス人の間で人気が高いのかといえば、もちろんダイエットに効果があると信じられているから。コントレックスは何と硬度1500以上という超硬水。飛び抜けて多くのカルシウム、マグネシウムを含んでいる水です。このミネラル成分がカラダの新陳代謝を高め、ダイエットに役立つと考えられているのです。

 その効能を期待して、コントレキセヴィルの町には、フランス国内はもとよりヨーロッパ全土、最近ははるか遠い日本からも「痩せたい」と願う人が集まってきます。彼らは平均して十日から二週間もこの町に滞在し、町の中心にあるテルマリズム・センターで、“フォルフェ・リーニュ”と呼ばれるダイエットのための医療プログラムを受けます。


町の入口にある噴水 / ドーム型の水飲み場

 コントレキセヴィルの町には、水をモチーフにしたモニュメントや噴水があったり、シンボルでもあるドーム型の建物のまわりの柱や壁に青とピンクのタイルをモザイク状に並べていたりと、いたる所に水の町らしい、細やかな演出がほどこされています。
 このドーム型の建物の中は水飲み場になっていて、白鳥の姿をした銀色の蛇口から、それぞれ成分の異なる4種類の水が出ています。病気治療の患者は、テルマリズム・センターでの診断をもとに、この4つの水を飲み分けるのです。


白鳥をかたどった蛇口

 センターで行われている水治療には、ジャグジージェットバスやウォーターマッサージなど、さまざまなメニューがありますが、僕は所長であるアニー・マズイ博士が選んでくれた、特別メニューを受けることになりました。
 このアニー・マズイ博士は、まだ30代の若さの女性ながら、医学博士にして水治療の権威。そして、このテルマリズムセンター全体の管理を一人でこなしているすごい人です。
 センターへ行くと、まずロッカールームに通され、そこで服を脱いで全裸にガウン一枚という姿になり、軽くシャワーを浴びます。「ヴィッテル」の回でも書きましたが、これから受ける水治療は、プールでのエクササイズを除いて、基本的に全て全裸で体験するのです。


ジャグジー・ジェットバス / 四本の手のマッサージ

 私に与えられた第一日目のメニューは、ジェットバス、ウォーターマッサージ、ミストバス、それにスチームサウナでした。ジェットバスは一見するとスポーツクラブにあるジャグジーに似ていますが、こちらは医療用に作られた高性能のマシン。体温より少し低い温度に設定された浴槽につかると、足の裏、ふくらはぎ、腰、背中、首筋、腕といった神経のツボを、超音波の水流が10分以上もマッサージしてくれます。最初はちょっとむずがゆい感じがしますが、数分もするとツボを刺激されるからか全身がしびれ、頭もボーっとして、快感に変わっていきます。

 続くウォーターマッサージは、別名「四本の手のマッサージ」と呼ばれる、このセンター独自の治療で、ベッドの上に横たわり、ミネラルウォーターのシャワーを全身に浴びながら、二人の専門トレーナーが“四本の手”でマッサージをしてくれるというもの。それはいいのですが、驚いたのは、その二人のトレーナーが男女のペアということです。

 さすがの僕も、男性はともかく若い女性に全裸のままマッサージを受けるのは、少しばかり抵抗がありました。恥ずかしいし、そんなつもりはなくても、変な気分になったら困ると思ったからです。でも「習慣が違うんだから仕方ない」と、何とか自分に言い聞かせて、素直に横になりました。そうしたらまあ、このマッサージの気持ちいいこと。緊張していたのは最初の数分だけで、あとはもう極楽気分。一人が頭から、もう一人が足からマッサージをしてくれるのですが、二人の息がぴったり合っているので、どちらが男性でどちらが女性かなんてまるで気にならないし、どうでもよくなってしまうのです。


コントレックス100%のプール / シャワーによるマッサージ

 エクササイズは室内のプールで行われるのですが、このプールの水はなんとコントレックス100パーセント。エクササイズの時間は40分間もありますが、ずっと体を動かすのではなく、ただ浮き輪でぷかぷかと浮かんでいたり、軽いストレッチをゆっくりとしたり、これでいいのかと思うほど楽なメニューです。しかしインストラクターの人の話によれば、水の中ではのんびり遊んでいるだけでもたくさんのカロリーを消費するため、これだけでもダイエット効果は十分とのことでした。

 こうして二日間の体験メニューを終えて僕が何より感心したのは、このテルマリズムセンターそのものが、医療施設であると同時に、人間をリラックスさせる居心地のよい空間であることです。
 日本の場合、いわゆる医療を受けるというときには、患者は精神的な負担を強いられます。病室は消毒液の臭いがするし、白衣を着た医者もどこか威圧的に見えます。
 ところがこのテルマリズムセンターの医療は、外光が差し込み、垢抜けたインテリアに囲まれ、ハーブの香りがする室内で、衛生的であっても少しも威圧的でない服装のスタッフによって実践されています。そうした配慮が、ダイエットメニューを受ける人はもとより、腎臓障害や尿路結石の治療を受ける患者の気持ちを前向きにすることは言うまでもありません。

 しかし本当に、このコントレックスによる水治療が病気を治したり、ダイエットをするのに効果を上げているのでしょうか。そこのところを率直に、マズイ博士に聞いてみました。


アニー・マズイ博士

 「コントレックスの水に利尿作用があり、腎臓や尿路の結石治療に効果があることは、今から40年以上前の1950年代に、すでに臨床データによって証明されています。またその後の研究によって、コントレックスが胆汁の分泌を促し胆嚢の機能を正常に戻す効果があるということもわかっています。コントレックスには、本当にさまざまな病気を癒す力があるんです。
 しかし、ダイエット効果については、少し誤解されているようです。まずわかって頂きたいのは、コントレックスさえ飲めばあとは何を食べていても自然に痩せるわけではないということです。
 コントレックスのダイエットにおける主な役割は、その高い利尿効果と腸を刺激し排便を促す作用によって、体内に溜まった宿便やさまざまな老廃物を外に出すのを助けることです。老廃物を出すことで体の新陳代謝が促進されますから、それが自然に痩せることにつながります。
 そして、ダイエットには食事制限による摂取カロリーの調整が不可欠ですが、コントレックスはそうした食事制限によって不足するミネラルを、ノンカロリーで補ってくれるというメリットもあります。こうしたことをすべて合わせて、私たちは“コントレックスにダイエットを助ける効果がある”と主張しているわけです」



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